「ステーキけん」元運営会社の破綻に思うこと

社会・経済
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「ステーキけん」や「ふらんす亭」の元運営会社であったMSF(本社、東京都)が2020年2月に破産手続きを開始した。2012年は、一時売上高225億円だったが、負債約4億5000億円をかかえて破産した。

顧客満足度に疑問

筆者は、破産する1年するほど前に、一度だけ東京都内の「ステーキハンバーグ&サラダバーけん」で食事をしたことがある。土日のランチ時間、しかも都内だというのに、お客さんは2組程度。メニューは、価格帯のわりに味は悪くなく、サラダバーもついてきて、そんなに悪くはない。しかし、また食事に来たいと思う何かが欠けていた。

1つは、店内の雰囲気である。お昼頃だというのに、店内の照明は小さく、薄暗い雰囲気だった。その暗い店内のせいか、テーブルや椅子などの設備も、どことなく古く清潔ではない印象を持った。特に、ロイヤルホストなどの高級志向のファミリーレストランと比べると、安っぽい空間に来た感覚がした。

また、ブランド名にもなっているサラダバーのコーナーに食品の一部が空だった。それも少しではなく、半分くらいが空だった。そして、サラダバーやドリンクバーのコーナーのあたりに、食品が落とされてたり、ドリンクがこぼれていたり、綺麗に整えられてなかった。

店員が店内をチェックする余裕がなくなるほど店内にはお客はいないし、人手不足なのかわからないが、とにかく「お店の管理が行き届いていない印象」をもった

経営者のイメージの悪さ

MSFの元社長である井戸実氏は、一世一代で「ステーキけん」というブランドを成功させただけあって、「ロードサイドのハイエナ」と呼ばれ、若手経営者として注目されていて、テレビに出演することも多かったし、Twitter等のSNSのフォロワーも多かった。

そんな中で、彼の発言は、居酒屋の和民が元従業員の過労死自殺問題で「ブラック企業大賞」をとるなどして、飲食店の労働環境が問題視されるなかで、Twitterで「長時間労働が嫌なら働かなければいい」と発言して、炎上した。

また、自分がたくさん法人税を払っていることを説明し、「ニートは道路を歩くな」などとも発言しており、ますますイメージを悪くした。

前述のとおり、自分が食事した際の満足度が低かったのと、この元社長のイメージが悪いのも相まって、筆者は、この「ステーキけん」に再訪する気にはなれなかった。

まとめ

現代のような情報が早く大量に流れる社会では、急速に顧客のニーズは変化する。おそらく、「ステーキけん」や「ふらんす亭」の元運営会社であったMSFは、かつての成功に甘んじて、急速に変化する現代の顧客のニーズをよく捉えきれてなかったのではないだろうか。今も、新型コロナウイルスの感染により、多くの飲食店が経営難に陥っている。そのなかでも、いち早く「持ち帰りサービス」や「デリバリーサービス」を転換して、逆に売り上げを伸ばした企業もある。そのような形で、今の顧客ニーズの本質を的確に捉えて、柔軟に事業戦略を変えられる企業こそ、これからの時代に生き残っていくのではないだろうか。

また、顧客ニーズ現在のスマホSNS時代だからこそ、顧客は経営者のことをネット上でよく知ることができる。これまで以上に、経営者のイメージ戦略というのが会社の売上にも影響してくる時代になると考える。


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