仮想通貨の取引をしていると「シンプソンチャート」「シンプソン形成」「シンプソン相場」など、やたら「シンプソン」という言葉を聞くと思います。このページでは、このシンプソンチャートとは、いったいどういう意味で、どのような意味を持つのか解説していきたいと思います。
【もくじ】
シンプソンチャートの形
シンプソンチャートとは、90度の角度で急に上げ/下げするチャートのことです。
つまり、
①急激に大きな上昇をして、真横に移動した後、急激に大きな下落で全戻しする
②急激に大きな下落をして、真横に移動した後、急激に大きな上昇で全戻しする
このどちらかを指します。
一例を紹介すると、2020年6月2日のチャートが該当します。これは、上記①のパターンです。急騰して、ヨコヨコした後に急落して、上昇した値幅を「全戻し」するようなチャート形状です。
由来はアニメキャラ
シンプソンチャートの「シンプソン」とは、アメリカのアニメ「the Simpsons」に出てくるシンプソン家の長男バート・シンプソンに由来します。このバート・シンプソンは、5人家族の長男でアメリカの小学生であり、いたずら好きで大人をよく困らせます。由来になったのは、彼の髪型です。彼の縦に長く伸びてギザギザした髪型は、アメリカで「スパイク・ヘア」と呼ばれていて、シンプソンチャートの形状によく似てています。
仮想通貨市場で頻発する理由
シンプソンチャートは、仮想通貨(特にビットコイン)のチャートによく現れるチャート形状であり、株・為替・投資信託などのチャートにはあまり見られません。
そんな仮想通貨に特有のシンプソンチャートの意味について、簡単に解説します。
①大口投資家(クジラ)の大口注文
仮想通貨市場は、株式市場と比較して小さい金融市場なので、仮想通貨を大量に保有する「クジラ」と呼ばれる大口投資家が大きな買い・売り注文を入れることにより、このような急騰・急落が起こること頻繁にあります。
したがって、そのようなクジラ投資家は、大きな注文をいれることにより多少価格操作できてしまう点を考慮しておく必要があります。
②ロスカット狩り
急騰・急落の場面では、ロング(買い注文)とショート(売り注文)の未決済建玉を強制ロスカットさせるメリットがあります。いわゆる、逆指値注文(ストップロスオーダー)狩りです。大口投資家は、利益計算に基づいて相場を一定方向に動かし、流動性の低いポジションを清算させることができます。
仮想通貨ビットコインでは、デリバティブ取引が多いため、レンジ相場やヨコヨコ相場(値動き幅が少ない相場)など方向感が無い相場では、発生しやすいのです。
どういう意味を持つか
前述のとおり、シンプソンチャートは、①大口投資家の大口注文、②ロスカットの発生などが原因になるため、テクニカル分析を無視した動きになることも多く、「シンプソンチャートが出たから上昇/下落する」という分析は一概にできません。
また、①大口投資家の大口注文による場合は、事前に値動きを予測することは困難なので、シンプソンチャートが形成されることを想定してトレードすることは容易ではありません。
シンプソンチャートでは、急騰/暴落のあとヨコヨコして暴落/急騰するので、中期的な目線では、元の価格帯に戻ってきたことになります。したがって、チャートのテクニカル分析をする際に「シンプソンチャートをなかったことにする」という目線を持つと、元々存在していたトレンドライン・サポートライン・レジスタンスラインなどを引き続き有効と考えられます。例えば、下の図のように、シンプソンチャートがなければ、三角持ち合いの中で価格推移していることが分かります。そのような意味において「シンプソンチャートをなかったことにする」目線は、中・長期的なチャート分析において有利に働く場合があります。
また、現物の長期保有者にとっては、シンプソンズチャートのような値動きは、中・長期的な影響力を持たないものと考えられていますので、あまり気にしすぎないことも大切です。
まとめ
シンプソンチャートとは、
・由来はバートシンプソンの髪型
・大口投資家の注文orロスカット狩りが原因
・それゆえ予測が困難
・存在しなかったとみなす目線も有効